「株式投資をしていて、よく PERや、 PBRという単語を耳にするけど、一体何なんだろう? どう使うんだろう?」
と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか!
PER 、 PBR とは、それぞれ「 株価収益率(Price Earnings Ratio) 」、「 株価純資産倍率(Price Book-value Ratio) 」のことで、どちらも 株式の割安割高を判断するために用いられる指標です。
今回は、これら指標の定義や、違い、実際にどういった活用の仕方をするのか丁寧に解説していきます!
こちらの記事を読んで、ご自身で” 株式の割安割高 ”を判断する目を養っていきましょう!
PER とは?
PER (株価収益率) とは、上場企業の「 利益 」と「 株価 」の関係がわかる 企業財務分析の指標 です。
PER を一言で説明すると
「 今の 純利益 なら◯年で 時価総額 (株価 × 発行株数) を回収できる 」
と言う指標です。
PER 17倍なら「17年」、 PER 15倍なら「15年」で 時価総額分の純利益が稼げる と言う意味です。
なので、一般的に PER が高ければ割高、低ければ割安と判断される場合が多いです。
PER の計算式
PER ( 株価収益率 )は、
「 株式市場が判断する企業の価値 (時価総額)÷ 企業の当期純利益 」
で表すことが出来ます。
株式市場が判断する企業の価値は「 時価総額 (株価×発行株数) 」のことです。また 当期純利益 を発行株数で割った「 1株あたりの当期純利益 」と株価で計算する場合もあります。
ちなみに、「 1株あたりの当期純利益 」を EPS(Earnings Per Share)と略すことが多いです。
つまり、PERの計算式は以下のようになります。
PER で 割安 , 割高 を判断する場合の注意点
PER は、何倍が妥当であるという水準はなく、その数字自体になんの意味もありません。
他社の PER と比較したり、その会社の過去の PER と比較したりしたときに初めて PER は意味を持ちます。
それでは、以上の比較方法で比較する際の注意点を詳しくみていきましょう!
必ず同一業種内で比較する!
業種ごとに 平均PER は大きく異なります。
業種が違う企業の PER を比較することはほとんど意味がありませんので、必ず同一業種内で比較しましょう!
比較例
建設業を経営しているA社は PER 20倍で取引されており、
同業他社であるB社は PER 10倍で取引がそれぞれされている。
この場合、投資した金額を20年で回収できるA社よりも、10年で回収できるB社の方がお得(割安)と言えます。
過去できるだけ長い期間の PER推移を参考にする!
基本、利益積み上げ型の純資産をベースとしている PBR (株価純資産倍率) とは違い、PER は直近期の収益性をベースに指標しています。
そのため PBR と比較して変動幅が大きくなりがちなのが特徴です。
ですので直近期のPERだけで判断するのではなく、直前3期ぐらいの PER推移 を見ながら割安・割高判断をしてタイミングを見はからって売買することが望ましいと思います。
比較例
A社のPERが過去2年間で8倍~12倍の間で推移していた場合、
PERが15倍に上昇すれば割高、6倍に下がれば割安になっていると判断することができます。
利益が赤字の場合は使えない!
赤字企業の場合、PERは使うことができません。
なぜなら、利益が赤字の場合、 PER の計算の分母となる純利益がマイナスとなるため、正しい PER を計算することができないからです。
このため赤字企業の場合は、 PER を用いた割安・割高の判断ができません。
PBR とは?
PBR(株価純資産倍率)とは、上場企業の「純資産から見た価値」と「株価」の関係がわかる企業分析指標です。株価(≒株式市場が決める企業の価値)というのは 現在価値 + 将来価値(期待値含む)を加味して市場参加者が決めるものですが、現在価値を求めるものが PBR なのです。
ここで言う現在価値とは上場会社の「純資産(=株主資本)」のことです。純資産は投資家の期待値によって増減するようなものではありません。
PBRを数値で考えると難しく感じる方もいると思いますが、極端なことを言ってしまえばPBRでは↓のようなことを見ることができます。
PBR1.0倍以上なら(株価は一株あたりの純資産よりも高くなら)
「株価には、純資産だけでなく、ブランド力や技術力など決算書に表せない付加価値が加算されている。(割高だ。)」
PBR1.0倍以下なら(株価が一株あたりの純資産よりも低いなら)
「株価が資産価値よりも安くなっている状況のため、お得(割安)だ。」
仮にPER(株価収益率)など将来価値を図る企業分析指標が悪いわけではなく、PBR1.0倍を下回るような場合は「企業の将来性が高いのに株式市場では評価されていない銘柄」と言うことになるわけです。
つまり割安のお宝銘柄である可能性が高いという事です。
PBRの計算式
PBR(株価純資産倍率)は、
「株式市場が判断する企業の価値÷企業の現在価値」
で表すことが出来ます。
先ほど説明した通り、企業の現在価値は「純資産(株主資本)」ですが、株式市場が判断する企業の価値は「時価総額(株価×発行株数)」のことです。また純資産(株主資本)を発行株数で割った「1株あたりの純資産(株主資本)」と株価で計算する場合もあります。
ちなみに、「 1株あたりの純資産 」を BPS(Book-value Per Share)と略すことが多いです。
つまり、PBRの計算式は以下のようになります。
PBRで「割安」「割高」を判断する場合の注意点
PBR も PER と同様に比較して初めて意味を持つ指標です。
PBR を用いる場合も注意点がありますので、順番に見ていきましょう!
PBRの注意点1:業種
法的に自己資本が多く必要な銀行などの金融業では軒並みPBRが1.0倍を下回っています。
このようなケースではPBR1.0倍以下でも割安の判断材料にはできません。
PBRの注意点2:収益性
現在価値を表すPBRが低くても「将来価値が著しく低い」ときも要注意です。
PBRの純資産(株主資本)は前期のデータを元に計算していますが、損失計上を予定しているなどの情報が既に流れている可能性もありますので事前にニュースなどで確認してから投資判断をしてください。
PBRの注意点3:配当性向
PBR が低いのに配当性向が低い企業も注意です。「純資産を貯めこんでるんだから株主に還元しろ!」と言っても聞く耳を持たないかもしれません。
まあ「モノ言う株主」であればそういった企業こそ狙い目かもしれませんが、、、
まとめ
以上をまとめると、PERが「企業の収益」に対する株価の割安・割高感を、
PBRは、「企業の純資産」に対する株価の割安・割高感をそれぞれ示します。
PERとPBRだけでは、割安・割高といった点しか確認できないため、より深く銘柄を分析するためには、EPS(一株あたり純利益)やROE(自己資本利益率)、ROA(総資産利益率)といった指標も活用するようにしましょう!
これらの情報をぜひお宝銘柄探しに役立ててください!
PER, PBRに関するQ&A
PER , PBR を調べるおすすめの方法を教えてください。
PER , PBR に限ったことではありませんが、企業のファンダメンタル分析をするには以下の条件を満たすネット証券会社が良いと思います。
・四季報が見れる
・業績予想がある
・個別企業のアナリストレポートがある
・ファンダメンタル分析のスクリーニング機能が多い
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企業情報チェックに是非とも 証券会社 各社の取引ツールをご活用ください!
参考記事:株の取引ツール比較|ネット証券のトレードツールおすすめランキング
他にファンダメンタル分析に役立つ指標はありますか?
既に述べた通り、 PER , PBR はそれぞれ銘柄の割安・割高を判断することはできますが、それだけで優良な銘柄が選択できるという万能な指標ではありません。
最終的な投資判断をする際には、他の指標も活用して総合的に利用する必要があります。
具体的には、下記のような指標を使うことがおすすめです
PER , PBR 以外の活用すべき指標 | |
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指標名 | 内容 |
ROE(自己資本利益率) | 自己資本に対する純利益の割合 |
ROA(純資産利益率) | 総資産に対する純利益の割合 |
自己資本比率 | 純資産に対する自己資本の割合 |
営業キャッシュフロー | 営業(本業)活動による資金の流れを表す指標 |