楽天VTI(楽天・全米株式インデックス・ファンド)は低コストで米国の株式市場全体に幅広く分散投資ができるおすすめの投資信託です。
楽天VTIは様々なメディアで取り上げられていたり、著名な方だと中田敦彦さんや厚切りジェイソンさんが楽天VTIへの投資を推奨しているので、興味を持たれている方も多いのではないでしょうか?
本記事では、楽天VTIの特徴や魅力、投資するにあたっての注意点などを分かりやすく解説します。
投資をする上で銘柄の理解は非常に重要ですので、楽天VTIに興味を持たれている方はぜひ最後までご覧ください。
【概要】楽天VTI(楽天・全米インデックス・ファンド)とは
楽天VTIは楽天投信投資顧問が運用している人気の低コストインデックスファンドです。
正式名称は「楽天・全米インデックス・ファンド」ですが、マザーファンドを通じて「VTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)」に投資が行われていることから「楽天VTI」の名で親しまれています。
楽天VTIの基本情報を下記にまとめました。
運用会社 | 楽天投信投資顧問 |
---|---|
設定日 | 2017年9月29日 |
連動指数 | CRSP USトータル・マーケット・インデックス |
信託報酬 | 0.162% |
決算日 | 毎年7月15日 |
つみたて投資枠 | 対応 |
iDeCo | 対応 |
楽天VTIはマザーファンドを通じてVTIに投資を行い、「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」に連動する投資成果を目指しています。
「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」は米国株式市場の大型株から小型株までを網羅し、米国株式市場の時価総額をほぼ100%カバーしている時価総額加重平均型の株価指数です。
もう少し「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」について理解を深めるために、米国の主要株価指数「S&P500」との違いを説明します。
S&P500 | CRSP USトータル・ マーケット・インデックス |
|
---|---|---|
特徴 | 米国の大型株500銘柄 | 米国株式市場の大型株から 小型株までを網羅 |
発表年 | 1957年 | 2011年 |
発表会社 | S&Pダウ・ジョーンズ ・インデックス社 | シカゴ大学 証券価格調査センター |
算出方法 | 時価総額加重平均型 | 時価総額加重平均型 |
組入銘柄数 | 約500 | 約4,000 |
分類 | 大型 | 大型・中型・小型 |
米国株式市場の 時価総額カバー率 | 約80% | 約100% |
S&P500指数は米国を代表する株価指数で大型株を中心に米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしています。
一方、CRSP USトータル・マーケット・インデックスはそれらの大型株に加えて、中型・小型株まで含めた合計約4,000銘柄で構成されているので、より幅広く米国株式市場に投資ができます。
S&P500とCRSP USトータル・マーケット・インデックスはどちらも幅広く米国株式市場に投資を行う指数ですので、運用成績に大差はありません。
楽天VTIの組入銘柄
楽天VTIの組入上位10銘柄がこちら。
銘柄 | 業種 | 組入比率 |
---|---|---|
マイクロソフト | テクノロジー | 6.3% |
アップル | テクノロジー | 5.8% |
エヌビディア | テクノロジー | 3.1% |
アマゾン・ドットコム | 一般消費財 | 3.1% |
メタ・プラットフォームズ | テクノロジー | 1.8% |
アルファベット クラスA | テクノロジー | 1.8% |
アルファベット クラスC | テクノロジー | 1.5% |
バークシャー・ハサウェイ | 金融 | 1.4% |
イーライ・リリー | ヘルスケア | 1.2% |
ブロードコム | テクノロジー | 1.1% |
2024/1/31時点
組入上位10銘柄の顔ぶれを見ると、世界を代表する有名な米国企業がズラリと並んでいますね。
他にも4,000近くの銘柄が組み入れられていますが、組入上位10銘柄の合計でおよそ27%を占めています。
業種別で見ると、上位3業種は「テクノロジー(31.9%)」、「一般消費財(14.0%)」、「資本財(12.9%)」となります。
楽天VTIに投資する魅力
楽天VTIに投資をする魅力として以下の3つが挙げられます。
1 米国株式に幅広く分散投資できる
楽天VTIに投資をする魅力は米国株式に幅広く分散投資ができることです。
先述のとおり、CRSP USトータル・マーケット・インデックスは中小型株まで含めて米国株式全体に投資をすることができます。
中小型株だけに投資をするのもリスクが高いですし、あくまで大型株を中心としながらも一部中小型株が含まれているのは非常に魅力的です。
お笑い芸人でFIREを達成した厚切りジェイソンさんも成長率が高い中小型株が含まれる点に魅力を感じ楽天VTIへ投資を行われています。
2 信託報酬が低い
楽天VTIは信託報酬が低い点も魅力です。
信託報酬は投資信託の保有時にかかるコストを意味しますが、楽天VTIの信託報酬は0.162%(年率)程度となっています。
信託報酬が0.20%を切ってくると非常に低コストのインデックスファンドの部類に入ります。
3 iDeCoやつみたて投資枠の制度も利用可
楽天VTIはつみたて投資枠やiDeCoなどの税制優遇制度を活用することができます。
どちらも税制上有利になる素晴らしい制度ですので、楽天VTIへ投資をする際にはぜひこれらの制度を活用しましょう。
つみたて投資枠やiDeCoの制度概要を詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
つみたて投資枠やiDeCoの対象商品は金融庁がコストなどファンドの中身を精査したうえで選定されています。
そのような観点からみても楽天VTIは非常に信頼性が高い商品だと言えます。
楽天VTIに投資する注意点
楽天VTIに投資をする注意点も2つ押さえておきましょう。
1 VTIを直接購入する方がコストは安くなる
楽天VTIは投資信託の中でも非常に低コストのインデックスファンドですが、直接VTIを購入する方がコストは安いです。
本家VTIの経費率は0.03%ですが、楽天VTIに投資をする場合はファンドに対する信託報酬(0.132%)が上乗せされるため、実質的な信託報酬は0.162%と相対的に高くなります。
楽天VTIと本家VTIの違いを表にまとめてみました。
比較項目 | 楽天VTI | VTI |
---|---|---|
商品分類 | 投資信託 | ETF |
売買手数料 | なし | 0.495% |
信託報酬(経費率) | 0.162% | 0.03% |
最低投資金額 | 100円 | 1口(約30,000円) |
分配金 | なし | あり |
つみたて投資枠 | 対応 | 非対応 |
iDeCo | 対応 | 非対応 |
コストのほかにETFを直接購入するメリットには
- リアルタイムで売買できる
- 外貨で購入することができる
などが挙げられます。
ただし、VTIは購入単位が1口からになるので最低投資金額が大きくなりますし、つみたて投資枠やiDeCoに対応していないのがデメリットです。
一方の楽天VTIは最低投資金額が100円からなので少額投資もできますし、つみたて投資枠やiDeCoの制度も利用できます。
これらの点を加味すると本家VTIよりも多少コストは高くなりますが、投資初心者には楽天VTIをおすすめします。
2 分配金(配当金)は出ない
本家VTIに投資をすれば分配金が支払われますが、楽天VTIは分配金が支払われません。
分配金が支払われないとはいえ、楽天VTIは本来支払われる予定だった分配金がファンド内で再投資されているので問題視する必要はありません。
定期的にキャッシュを手に入れたいと考えている人にとっては不向きかもしれませんが、運用効率は再投資の方が良いです。
【評価】楽天VTIの利回りは?
楽天VTIのリスク・リターンを下表にまとめました。
期間 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) |
---|---|---|---|
リターン | 40.52% | 22.46% | 20.40% |
標準偏差 | 13.47 | 16.13 | 17.61 |
シャープレシオ | 3.01 | 1.39 | 1.16 |
【参照:ミンカブ投信 日付:2024/2/29時点】
楽天VTIのリターン(利回り)を確認すると、3年で年率22.46%、5年で年率20.40%と中長期の期間で非常に良好な運用成績を残しています。
コロナショックなど相場の局面によっては大きく下落したこともありますが、その後はしっかりと回復していますね。
今後も米国経済は長期的な観点から経済成長が期待されているので、米国経済の成長とともに楽天VTIの基準価額の上昇が期待できます。
楽天VTIに投資するのにおすすめの証券会社
これから楽天VTIを購入しようと考えているのであれば、ネット証券を活用することをおすすめします。
参考:ネット証券おすすめランキング!株初心者におすすめの証券会社を徹底比較!
証券会社 | SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | auカブコム証券 | 松井証券 |
---|---|---|---|---|---|
投資信託 取扱本数 |
2,576 | 2,556 | 1,757 | 1,774 | 1,861 |
つみたて投資枠 取扱本数 |
222 | 222 | 219 | 220 | 224 |
楽天VTIの取扱 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
クレカ積立 | 対応 三井住友カード |
対応 楽天カード |
対応 マネックスカード |
対応 au PAYカード |
非対応 |
クレカ積立 ポイント還元率 |
0.5~5.0% | 0.5%~1.0% | 1.1% | 1.0% | - |
投資信託保有時 ポイント還元率 (年率) |
0.05% | - | 0.03% | 0.005% | - |
詳細 | SBI証券 ≫詳しく見る |
楽天証券 ≫詳しく見る |
マネックス証券 ≫詳しく見る |
auカブコム証券 ≫詳しく見る |
松井証券 ≫詳しく見る |
ポイント還元率は楽天VTIに投資を行った場合で算出【2024/3/18時点】
ここでは数あるネット証券の中でも楽天VTIに投資するにあたっておすすめのネット証券を2社紹介させていただきます。
楽天証券
楽天VTIに投資をするなら楽天証券がおすすめです。
楽天証券はつみたて投資枠とiDeCoの両制度において楽天VTIを取り扱っています。
加えて投資信託を積立投資するにあたって楽天ポイントが貯まる以下の2つのサービスが用意されています。
- クレカ積立
- 投資信託資産形成ポイント
楽天VTIを楽天カードで積立すれば0.5~1.0%のポイントが還元され、楽天キャッシュ決済を活用すれば0.5%のポイントが還元されます。(参照:楽天証券のクレカ積立)
また、楽天証券には毎月月末時点の投資信託の残高がはじめて一定の金額に到達した場合に楽天ポイントが進呈される投資信託資産形成ポイントというサービスがあります。
SBI証券
SBI証券は総合力No.1のネット証券です。
投資信託の取扱本数も2,576本と主要ネット証券で最多となっており、その他の金融商品やサービスも充実しています。
特に投資信託に関連するサービスとしては
- クレカ積立
- 投信マイレージサービス
が非常に充実しています。
クレカ積立とは、対象の三井住友カードで投資信託を積み立てることができ、投資信託の積立時に0.5%~5.0%*のポイントが貯まる非常にお得なサービスです。(参照:SBI証券のクレカ積立)
投信マイレージサービスは投資信託の月間平均保有金額に応じてポイントが貯まるサービスです。
楽天VTIの買い方
楽天VTIの購入方法を紹介させていただきます。
本記事では、楽天証券の画面で操作していますが、基本的にどこのネット証券でも操作方法は同じです。
まずは楽天証券の口座にログインし、「投資信託」→「投資信託スーパーサーチ」のタブをクリックします。
そして、検索条件にて「楽天・全米」や「楽天・バンガード」などと入力しましょう。
すると、下記の画面のように「楽天・全米株式インデックス・ファンド」が出てきますので選択してください。
続いて、「スポット注文(一括購入)」もしくは「積立注文」のいずれかを選択します。
1 スポット注文
スポット注文はまとまった資金で投資信託を一括購入する方法です。
下記の画面を参考に「買付金額」「ポイント利用」「分配金コース」「口座区分」「目論見書」の確認を行ってください。
楽天VTIは分配金が出ないファンドではありますが、分配金コースは再投資型を選んでおきましょう。
口座区分は特定口座を推奨しますが、成長投資枠など非課税口座の余剰枠がある場合はぜひご活用ください。
2 積立注文
積立注文は毎月指定した一定の金額の投資信託を購入し、積み立てていく注文方法です。
まずは引き落とし口座と積立指定日を選択します。
楽天証券の場合、引落方法は以下の4つから選択できます。
- 証券口座(マネーブリッジ)
- 楽天キャッシュ(電子マネー)
- 楽天カードクレジット決済
- その他金融機関からの引き落とし
引落方法が選択できたら毎月積み立てる金額とポイントの利用設定を行います。
そして、最後に分配金コースの選択と口座の選択を行いましょう。
楽天VTIは分配金が出ませんが、再投資型を選んでおくことをおすすめします。
また、口座区分に関してはつみたて投資枠の口座を開設されている方は「つみたて投資枠」を、それ以外の方は「特定口座」を選択しましょう。
全て入力が完了したら目論見書を閲覧し、注文の発注を行ってください。
楽天VTIのよくある質問
つみたて投資枠の対象商品で楽天VTIと同じようにVTIに投資を行い、全米株式に連動する投資成果を目指すインデックスファンドには「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」があります。
両ファンドの違いを以下の3つの項目で比較してまとめた表が以下です。
項目 | 楽天・全米インデックス・ファンド | SBI・V・全米株式インデックス・ファンド |
---|---|---|
信託報酬 | 0.162% | 0.0938% |
純資産総額 | 1兆3858億円 | 2366億1500万円 |
運用成績(1年) | 40.52% | 40.47% |
2024/3/18時点
ご覧のとおり、信託報酬は「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」の方が低く、純資産総額は「楽天・全米株式インデックス・ファンド」の方が大きいといった違いがあります。
直近1年間の運用成績は大差ありませんが、若干「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」の方が良くなっています。
よりコストを抑えたいのであれば「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」に、純資産総額の大きさを重視したいのであれば「楽天・全米株式インデックス・ファンド」に投資を行いましょう。
楽天VTIと同じく低コストで米国株式に分散投資ができる人気のインデックスファンドには「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」があります。
どちらも米国株に投資をする点では同じですが、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)はS&P500に、楽天VTIはCRSP USトータル・マーケット・インデックスに連動する成果を目指す点が異なります。
米国を代表する主要企業を中心に投資を行いたいのであれば「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」に、中小型株まで含めて米国企業に幅広く分散投資を行いたいのであれば楽天VTIに投資を行いましょう。